転職時の注意点

転職を考えているお医者さんが注意するべき点は、いくつかあります。そのなかでも最も大切なのが、自分が何を望んで転職するのかをよく把握することです。

自分のことは自分が一番良く知っていると考えている人は多いのですが、果たしてそうでしょうか。ある種の思い込みにとらわれて、正しい問題の解決方法がなかなか見つからないという人は少なくないはずです。

まず、なぜ転職したいのかを今一度確認してください。転職理由はさまざまですし、理由が1つだけではない場合もあります。

労働条件が過酷なのに収入が低い、人間関係の軋轢に耐えられない、今の職場ではこれ以上のスキルアップが望めないなど、思いつく理由をすべて紙に書き出し、転職以外に解決方法がないかどうか、よく考えてみましょう。

なぜなら、ここでじっくりと考えておかないと、転職先でも同じような不満を感じて、すぐに辞めたくなってしまう可能性があるからです。

転職の最大のリスクは、転職をしても状況が改善されないことです。今の職場を手放すことのリスクに加え、転職先の条件が今以上に悪かった場合のリスクは計り知れません。

転職後のミスマッチングを防ぐためには、転職先の職場環境をしっかりとリサーチすることが大切です。

ミスマッチングを防ぐための努力を

例えば収入が低いことが不満で、高収入の職場を探していたとします。運良く今の収入より600万円年収の高い求人を見つけました。

そこで喜んで応募したところ、よくよく内情を聞くと、担当医が自分一人だけ、雑用から大勢の患者の対応まですべて一人で行うことがわかりました。

このように多忙な職場では、ミスを犯しやすくなるリスクが増大します。たとえ年収が高くても、医療ミスを犯して賠償金を請求されたら、高収入など無意味です。

また一方で、自分が専門とする診療科でも病院によっては治療スタイルが異なりますし、設置している機器や、医局の雰囲気などもガラリと変わります。

このため、転職前に自分がイメージしていた職場と違ったというケースも多いのです。

つまり、転職の際には、ひとつの条件をクリアしても、ほかの条件との兼ね合いが大切ですし、勤務先の設備、職場の雰囲気などが働きやすさと直結することを頭に入れておかなければ、転職で失敗しやすいのです。

このため、事前の情報をいかに集めるかが重要になります。面接前に職場見学をするなど、実際に自分の目でどのような職場なのかを確かめるだけでも、ミスマッチングがかなり減ります。

また、自分の希望を客観的に把握するためにも、第三者に相談することも大切です。

家族や同僚と相談するのはもちろんのこと、転職サイトに登録して、キャリアコンサルタントに自分の希望を話すことで、客観的に希望条件が把握できるというメリットがあります。

転職活動は自分一人でするにはリスクが高いのです。ぜひプロのアドバイスを参考にしてください。