作業療法士の仕事内容とは?

日常生活を送れるように支援するのが仕事

作業療法士とは人が生活をするうえで必要な機能を回復・向上させるためのリハビリテーションを行うのが仕事ですが、一口にリハビリテーションといっても、幅広い分野を担当します。

作業療法士の作業とは何かご存知でしょうか。
作業とは食事をしたりお風呂に入ったり、着替えをしたり、家事をしたり、仕事をしたり、趣味の活動をしたり、友人と遊んだり……といった日常生活にかかわるすべての活動のことです。
人は作業を行うことで日々を、暮らしています。

しかし病気やケガなど、何らかの事情でこれらの作業が行えなくなることがあります。
その原因は脳卒中や認知症、関節障害などの病気、怪我による脊椎損傷といったからだの機能のトラブルと、統合失調症などのこころの機能のトラブルの2つに分けられます。

作業療法士はからだと心、2つの側面からアプローチしていきます。

リハビリテーションの3つの目標

作業療法士は3つの機能及び能力の維持・改善を目標に訓練を行います。
第1は、体を動かす、知覚する、息をする、認知するなど生きるための基本的な動作能力です。
第2は、食事や入浴、トイレ、家事などの日常生活で必要となる応用的な動作能力です。
第3は、地域活動や学校、仕事への復帰といった社会的な適応能力です。

これら3つの能力の維持・改善のための、作業療法という訓練を行うのが作業療法士なのです。
作業療法では、日常的な動作を取り入れた訓練が基本となります。
病気やケガをした直後から訓練は始まりますが、この時期ではその人の症状に合わせて基本的な動作が行えるようリハビリテーションを実施します。
主に自分で食事ができるようにする、自分でトイレまで行けるようにするなどの訓練が行われます。

急性期を経て症状が安定し、回復期に入ると、日常生活に関してより具体的な訓練へと移行します。
自分で服が着られるようにする、自分で靴下が履けるようにする、料理をする、掃除をする、洗濯物を干すなどの動作に関する訓練や、外に出て買い物をする訓練などが行われます。

さらに地域のコミュニティーへの参加や職場復帰への支援、趣味を楽しむための支援なども行います。
これらの活動がしやすいように、自助具を制作するのも作業療法士の仕事です。

また、編み物や織物などの手芸、木工、書道、園芸、将棋など趣味を通して機能の回復をはかるのも作業療法で行われる訓練の特徴です。

これらの動作は、理学療法によるリハビリテーションとは異なり、応用的な動作能力となります。
一人ひとりの患者さんの症状に合わせて、適切な訓練が行えるように、患者さん本人はもちろんのこと、担当医師と話し合って、最適なプログラムを計画し、それに沿って訓練を行います。

生活について幅広い知識と関心を持つことが重要

作業療法士は患者さんの日常の暮らしに密接にかかわる職業です。
医学的な専門知識が求められますが、それ以外にも人々の趣味や生活、日常的な動作について、広く関心をもつことも重要です。

健康であれば何も考えずに行っている動作でも、病気やケガの後遺症などで体が動かせない人にとっては非常に難易度の高い動作に激変します。
どのように体を動かせばいいのかなど、ふだんの動作の仕組みにも目を配り、それをいかにリハビリテーションに活かすかを考える能力も求められます。

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